神戸市営地下鉄学園都市駅から直結、学園都市駅ビル3階にある歯医者さん、学園都市歯科ロコクリニックです。待ち時間の少ない、ほぼ無痛(痛くない)虫歯治療、しっかりとした説明、などに取り組んでいます。
硬いものを噛むと歯が丈夫になるという事を聞いたことがありませんか?
「丈夫になると聞いて、ガムをずっと噛んでいる」「丈夫になると聞いて、硬いものを食べるようにした」などのお話を聞くこともあります。
でもそれ、誤解なんです。歯は噛んで丈夫になるものではないんです。
① 歯が生えてからは、減るのみ
減るってなんだ?と思われるかもしれませんが、歯というのは硬い組織で、体の中で作られた後、表皮を破って外に出てきます。
作られた後には、表面的に歯が作られることはありません。
一方で、歯は咀嚼することで歯と歯がかみ合わされます。見えない範囲で、着実に歯はすり減っていきます。口は臼磨運動といって、臼(うす)の様に歯と歯をすり合わせて食べ物をかみ砕きます。硬いものを噛む場合、特に力が必要となり、すり合わせる力が増えます。歯と歯がすり合わされると、歯と歯で削られて、研磨されていきます。その力が強いほど、削れる力も強くなります。つまり、硬いものを噛むと、歯は減って、弱くなります。
むし歯はなく、歯ブラシもキレイに出来ていて汚れもない場合でも、歯ぎしりが強く、歯がすり減って痛みが出る場合があります。
噛み合わせで歯がすり減ったため、歯の神経が露出してしまって痛みが出る場合があるのです。力強く噛み合わせる事を繰り返した結果、歯の神経が、むし歯でもないのに露出してしまうことがあるのです。
②歯ぐきは筋肉ではない
鍛えれば強くなるというのは、漫画などではおなじみですね。
体は動かすことで、それに使用された筋肉が自己修復されて増強します。筋肉は体を動かす為に備えられた組織で、鍛えることで強くなります。
では、毎日、唇を歯で強く嚙むとします。唇は強くなるでしょうか?おそらく、まず唇は内出血し、そのうちただれ、それでも続ければ回復が間に合わず、壊死してしまうと思います。
歯ぐきも唇と同じで筋肉ではありません。
壊されると、同じ組織か、繊維質の組織に置き換えられていきます。それが間に合わなければ、次第に壊れていきます。
② 歯は歯ぐきに支えられている
歯に与えられた刺激は、歯ぐきが支えてくれています。その刺激が強すぎると、①と②に書いたように壊されていき最終的に歯が壊れるか、歯は残り、抜けてしまいます。
④歯と歯ぐきは丈夫にならない
①~③で書いたように、無理に硬いものを咀嚼することで、歯と歯ぐきは破壊されます。
③で、歯は歯ぐきに支えられている、と書きました。そしてそれを支えているのは骨です。
骨粗鬆症で骨が弱ってしまっている方の中には、食事で骨を折ってしまったという方がいます。咀嚼というのは、骨折してしまう程の力がかかるんです。
また、壮年の方で、歯ぐきにできものができた、と言っていらっしゃる方がいます。
歯ぐきを見てみると、骨が膨れ上がって、できものの様になってしまっている事があります。
下顎のベロ側や上顎の中央に出来やすいのですが、骨隆起と言います。
これは、過大な咀嚼力で骨が壊され、それを補強するために顎骨が肥大化したものです。
小さな骨折が繰り返された結果、できるものです。
では、どうすればよいのでしょうか。
噛むことは大切です。噛むと丈夫になる、の源流は、噛む事の重要性から生まれたものだと思います。
硬いものであれば咀嚼しなければ飲み込めないので、硬いものを食べましょうというのが始まりだと思います。
ただ、硬いものを食べても丈夫になるどころか、良くない事も起こるという事を①~④に書きました。 では何が正しいのか。
それは、よく噛む事です。噛むことで歯根膜という歯の周りが活性化されて脳に良質な刺激があたえられ、認知機能が活性化されると言われています。それは、硬いものである必要はありません。
努力して硬いものを噛めば、強い力で噛む必要があります。それは、①~③の結果を招きます。普段、食べている物を、丸呑みしないように適度な回数、咀嚼する事が必要です。
今までの食事で、一回ずつ増やすだけでも、3度3度の食事でたくさん回数が増えるはずです。